当スクールインストラクターの

ブログ

ホームブログ博士プロがズバッと答えます その5「コンバインドプレーン理論の局面整合性」

安藤秀インストラクター投稿記事 [用賀]

博士プロがズバッと答えます その5「コンバインドプレーン理論の局面整合性」

こんにちは! コンバインドプレーン理論開発者の安藤秀です。

 

ブログ版「博士プロがズバッと答えます」です。当ブログではYouTube版「博士プロがズバッと答えます」で取り上げられたテーマについての補足説明などを行っています。

 

今回のテーマは

「コンバインドプレーン理論の局面整合性」

です。

 

運動の局面とは「動きのまとまり」のことあり、ゴルフスイングはバックスイング、ダウンスイング、フォロースルーという3つの局面で構成されています。前回お話したゴルフスイングの学習や矯正で参考にすべき考え方では、この3つの局面の整合性が取れているかどうか目安になるということでした。つまり、ダウンスイングを指示通り行うとフォロースルーの動きにつながらないとか。バックスイングの動きとダウンスイングの動きがかみ合わないという考え方はNGですよ、ということでしたよね。

 

コンバインドプレーン理論はスイングを「腕の縦の動きと「体の横の回転」の合成と考えています。そして、これら腕の動きと体の回転にはそれぞれ上記の3局面が存在しているので参考にしてもいい考え方のうちの1条件はクリアできてますよね。

 

腕の動きと体の回転の合成では上半身が前傾回転しているために「クラブは胸の前でV字に動かす」「腕は縦に動かす」が同じことなります。以下の動画は「1.手首の動き(コック動作)と体の回転の合成」と「2.肘の動き(リフトアップ動作)と体の回転」の合成です。

 

1.手首の動き(コック動作)と体の回転の合成

 

2.肘の動き(リフトアップ動作)と体の回転の合成

 

次に、下のコンバインドプレーンのイメージでクラブを動かすと「クラブシャフトの軌道は角ばるのでは?」という疑問ですがそれを説明しましょう。

 

まずバックスイングですがこの動きは体の横の回転からスタートします。体の回転はクラブに横方向に動く力を加えます。その後手首のコック動作と肘のリフトアップ動作がクラブを縦方向に動かしますが、スイングスタート時に体の回転によりクラブに与えられた力がクラブを横方向に動かすためクラブシャフトは若干背中側に倒してしまいます。この時のクラブシャフトの倒れは、体の回転が速いゴルファーの場合や長いクラブを使った場合の方が大きくなります。

続いてダウンスイングです。トップオブスイングからクラブは腕の動きによって縦方向に振り下ろさせます。しかし、このクラブに対して体はダウンスイング方向への回転力を加えてしまいます。この回転による力は腕、グリップ、クラブの順で伝わっていくためその時間差とクラブの慣性からダウンスイング時のクラブシャフトは背中側に倒れます。この時もシャフトの倒れは体の回転が速いゴルファーの場合や長いクラブを使った場合の方が大きくなります。

最後はフォロースルーです。フォロースルーでも腕はクラブを縦方向に動かそうとしますが、クラブはダウンスイング以降の体の回転の勢いにより左方向に振られてしまいます。そのためインパクト後のクラブは背中側に倒れてしまいます(赤楕円)。しかし回転速度が弱まった頃、クラブシャフトには本来腕が加える縦方向の力が働き、体の回転による振り抜き方向(赤楕円)より高いフィニッシュポジションに収まります。

 

ここから分かるように、コンバインドプレーンイメージはクラブシャフトの動きのイメージではなく「スイング中の体と腕の動かし方のイメージ」なんです。

 

スイングプレーンの形は体の回転速度が速いゴルファーの場合と遅いゴルファー場合では異なり、また同じゴルファーでも長いクラブを使った場合と短いクラブを使った場合でも異なります。そう考えるとスイング動画に線を引いてクラブの軌道を習得する学習には疑問が生じます。

 

スイングプレーンは人それぞれ、使用クラブによっても異なります。いったい誰がどういう理由ですべてのゴルファーの正しいクラブの軌道を決めるのか? また、使用クラブのすべてのプレーンを習得しなければならないのか? 全部でないあら何番のスイングプレーンを習得すればいいのか?

 

コンバインドプレーンイメージは、スイング中のゴルファーの体と腕の動かし方のイメージで、すべてのゴルファーがこのイメージでスイングすれば、すべてのゴルファーのすべてのクラブのスイングプレーンが作れます。そうなるとスイングプレーンを意識してのスイング学習は不必要ということになりますね。

 

大切なのは体と腕の動かし方です。

 

スイングプレーンという概念は1930年代に写真技術を駆使したゴルフスイングの指導書を書いたセイモア・ダンという人によって発見され、スイングプレーンイメージを駆使した練習器具まで開発されました。しかし、この練習器具では誰のどのクラブのスイングプレーンが習得できたのでしょうか?

<セイモア・ダンのスイングプレーン練習器>

 

セイモア。ダンが”Golf Fundamentals”を著してから約30年後、ベン・ホーガンがかの有名はガラス板のスイングプレーンイメージを江湖に送り出しました。しかし、ベン・ホーガン自身も自分のスイングイメージに対して人間は骨格の構造上、このイメージ通りにスイングすることはできないと言っています。

<ベン・ホーガンのガラス板のスイングプレーンイメージ>

では、彼がこのガラス板のイメージを通して使えたかったのは何だったのでしょう? クラブシャフトの動く奇跡ではなく「スイング中の体と腕の動かし方のイメージ」だったのではないでしょうか?

 

 

博士プロがズバッと答えます その5

つづく

 

PAGE TOP