博士プロがズバッと答えます その21 「ボールセットはショットの再現性を高める重要な鍵」
皆さん、こんにちは! コンバインドプレーン理論開発者の安藤秀です。
ブログ版「博士プロがズバッと答えます」です。当ブログではYouTube版「博士プロがズバッと答えます」で取り上げられたテーマについての補足説明などを行っています。
今回は「最悪のショットをあまりひどくないショットに変える」についての話になります。
今回はワーストショットのクオリティーを上げる、つまりとてつもなく酷いミスショットを減らす方法です。ゴルフボールは球体であるため真ん中より上部、地球にたとえると北半球にあたる部分をクラブヘッドが打ってしまうとボールはいったん地面にめり込んだ後、空中にポンポンと跳ねてしまう「前に進まないトップショット」になってしまいます(下図の青矢印)。
これに対して赤道より下側、南半球にあたる部分をヒットした場合、「低い弾道である程度距離を稼ぐことができるトップショット」になります(下図青矢印)。
上で説明した2つのトップショットはどちらもミスショットです。しかし結果は全然違います。上の「ボールが地面でポンポン跳ねるトップショット」は10~20ヤードほどしか前に進みません。一方、下の「低い弾道のトップショット」はナイスショットと同じぐらい、場合によってはグリーンオンに成功してしまうこともあるミスショットです。
このように見ると、まだ毎回快心のナイスショットというわけにはいかない55切りや50切りを目指す段階のゴルファーは赤道より下をヒットすることを目指すべきということが分かります。赤道より下ということで、ナイスショットのみより許容範囲が広げられるうえにミスショットを打ちながらもいいスコアが作れるからです。
ただ、「赤道より下ではあるが地面を深く掘ってしまった」というスイングはいただけません。そこで、「赤道以下で極端にダフらない距離が稼げるスイング」を「よし」として成功体験を増やすことが大切でしょう。そうなると、次に問題となるのが「距離を稼ぐってどれぐらい?」ですよね。
この答えが前回ご説明した2打ないし3打トータルの飛距離となるわけです。ワンショットの飛距離ではなくトータルの飛距離を伸ばすためには、最悪のショットの質、すなわちワーストショットのクオリティーを上げることが必要ということです。2回ショットしたうちの1回が10ヤードしか飛ばないというのでは2打トータルの飛距離はがた落ちですからね。
ワーストショットのクオリティーを上げるための鍵になるのは「毎回同じ位置にボールをセットするルーチン」です。スイング練習の目的は同じスイング軌道でボールをヒットすることにあります。しかし、ボールと体の距離や左右の位置が毎回違っていては同じスイングを覚えても同じ結果になりません。するとゴルファー自身は同じスイングができなかったと考え成功スイングを失敗スイングと考えてしまいます。こうなるとただでさえ分かり難い目指すべき成功スイングは闇に包まれてしまいます。
皆さんはプロゴルファーは素晴らしいスイングができる人達ということは知っていますよね。でも、彼らが実は毎回同じ位置にボールをセットすることに関しても素晴らしい技術をもっているということはご存じないようです。
同じスイングをすれば同じ結果が得られるという条件下での練習はより早くスイングの再現性を高めます。そこでセットアップルーチンの中にボールと体の距離及びボールを置く左右の位置を一定にする手順を織り込んでいきます。これが「飛んで曲がらない球」を「何度も打つ」を達成する近道になるのです。
そして「同じ軌道で成功スイングを行う」という目標の達成にはスイング軌道を安定させるという考えよりもスイングしない場所を広げるという考えが必要になるのです。
ゴルフボールは4センチ程度、それを大きくても10何センチかのクラブヘッドでヒットするのがゴルフスイングです。これらの道具を用いてボールヒットの確率を高めるためにはボールをヒットするダウンスイング軌道を正しく覚えなければならないと考えているゴルファーは多いようです。しかし、このような考えはダウンスイング軌道自体が掴みにくく空間に無数に作れるため逆効果となるでしょう。
そこで視点をかえてクラブが通らない場所を削除していくという考えを基にスイング軌道習得を目指します。この作業ではまず、ボールの向こう側を振れない空間にするために「左腕を体に引き付けてインパクトする」というスイング技術を身に着けることを目標とします。
そして同時にボールより手前の空間を振らないようにしていきます。これには「アドレスでこれ以上近くにボールを置くことはできませんという場所にボールを置く」ことで達成できます。ここからセットアップルーチンが重要となるのです。