瞬間映像の罠
コンバインドプレーンゴルフスクール世田谷用賀本校 火、金、土、日曜日担当の安藤秀です。
バイオメカニックス的考察法では人間の動きを物体の動きとして分析します。そこでは運動している人の動きの感覚というものは無視されます。これは悪いことではなく、この考察法の特徴なのでしかたのないことです。
ただし、運動の学習・指導では、運動者が人間である以上、動いている時には動いている人の感覚というものが必ず存在します。そこで、この考察法を用いる場合、学習者や指導者がここをしっかりと分ける必要があるということです。
このことを分かりやすい例で説明しましょう。体操競技の跳馬を思い出してください。跳馬は助走の後、馬の背を短くした形の器械体操用具に手を着いて飛び越える体操競技の1種目です。
この競技を撮影した映像や連続写真を見てみると、馬体に両腕を着いた瞬間の両腕は曲がっています。この映像を見てこの腕の曲がりを真似しようと試技を行うと運動者は馬体に頭をぶつけてしまいます。この場合、運動者は腕を伸ばして馬体に手をついているのですが勢いで曲がっているということなのです。
ここから分かるように運動中の瞬間姿勢を抜き出したものを見る時には、その形の中のどの部分が運動者の意識的な動きで、どの部分が外力によってそうなってしまっているのか、そして、さらには意識的な動きと外力を組み合わせることでどういったパフォーマンスを作りあげるのかを考える必要があります。
つまり運動中の瞬間姿勢をそのまま真似すような運動の学習・指導には気をつけて下さいということです。次回からは、ゴルフスイングの学習を例に取り上げて説明していきます。
つづく
ゴルフスイングという運動の学習と指導22