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安藤秀インストラクター投稿記事 [用賀]

意図的NG動作練習

運動者は精一杯頑張っているのに見ている人に「力感のない運動」という印象を与えてしまう運動の原因が「運動調和が上手くできていないこと」にある、ということをお話ししています。

 

そして「上手く行われた運動調和によって現れる運動の特徴」というものは力学的や解剖学的な分析では説明がつかないうえに指導法もなかなか見いだせないものです。しかし、運動経験豊かな運動観察訓練した研究者の中には潜勢運動能力を駆使して素晴らしい指導を行うコーチもいます。潜勢運動能力とは聞きなれない言葉ですがスポーツ運動学の世界では指導者全体に必要とされている能力です。簡単に説明すると他人が行っている運動に感覚的に潜入し、その運動者の運動感覚に共感を得ることができる能力です。

 

前回は、プロゴルファーはトップオブスイングの手の位置をいろいろな位置に動かせる。だから映像や鏡で自分の位置が正しい位置でなかったり修正目標と違った場合、「より上か」とか「より後ろか」といった具合に振り上げ位置が変えられるということをお話しました。

 

これに対してアマチュアゴルファーはどうでしょうか?

 

腕が自由に動かせないアマチュアゴルファーの場合は、一定の位置にだけしか腕を動かすことができないので選択の幅が小さいということになります。そこで重要になるのがNG動作練習です。 NG動作練習とはわざと間違った動きができるかどうかという練習です。

 

多くの運動学者はこの練習をするとNG動作が身に付いてしまうと考えて「一切その動きはしない」、さらには「その動きの感覚から自分を遠ざけたい」と考えています。しかし本当にそうでしょうか?

 

もしそうなら今自分が行っているNG動作は何か間違った情報が自分の中に入りこんで、それを習得しようとして学習したためにそうなっているということになります。確かにそういった状況下でNG動作を行っている運動者もいるでしょう。

 

しかし、大抵の場合は正しい情報を基に運動を覚えたはずなのに、いつの間にかNG動作を習得してしまっている。さらには自分がNG動作を行っているとは思っていないという場合がほとんどです。つまり、自分では正しい動きを行っているつもりだがそうではないということなのです。

 

そうなると意図的にNG動作を実施してくださいと言われても、なんと「できない」のです。自分がそのNG動作を行っているにも関わらず「できない」のです。これはなぜでしょう。その理由は自分がNG動作をやっていると思っていないからです。ゴルフスイングで言えばオーバースイングになっているゴルファーに「オーバースイングでボールを打ってみて」と要求するとやろうとは試みるもできないのです。

 

傍観者からすれば「いつも通りに振ればオーバースイングになるのに」と思うところですが自分では自分のトップオブスイングはオーバースイングになっていないと思っているのにオーバースイングなっているのでどうすればいいか分からなくなってしまうのです。

 

動きの感覚から言っても、いまオーバースイングを行う動きの感覚で正しいトップオブスイングだと思っている以上、「オーバースイングを行う動きの感覚」はそのゴルファーには存在しないのです。

 

しかし、このゴルファーがオーバースイングを行う感覚が分かれば少なくともその感覚で動かなければ「オーバースイングにはならない」ということになります。つまり、NG動作が意図的にできるようになれがその動きの感覚を駆使しなければそのNG動作は発生しないということになるのです。

 

ここから「NG動作が意図的にできればそのNG動作は消える」と言えるのです。

つづく

最後まで読んでいただきありがとうござます! コンバインドプレーンゴルフスクール・コンバインドプレーン理論インターネットゴルフスクール・コンバインドプレーン理論インストラクター養成スクールを主宰する安藤秀でした。

 

ゴルフスイングという運動の学習と指導96

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