「コンバインドプレーン」理論に基づくスイング構築法 ‐スイング感覚作り編- テキスト
コンバインドプレーン理論に基づくスイング構築法「基本編」及び「フォーム作り編」ではゴルファー各自が自分自身に合ったスイングフォームを作ることが目標とされていました。しかし、いいスイングフォームが作れて練習場では飛距離の出る方向性や直進性の高いショットが打てるようになってくると、同時これらのショットが今ひとつスコアに反映されていないと感じることも多くなります。実は「いいスイングフォームを習得していいショットが打てるようになった」というだけでは「いいスコア」でラウンドすることはできないのです。
では、何を足りないのか? それが、この「スイニング感覚作り編」テキストで学ぶものです。練習場で覚えたスイングを駆使してコースでいいスコアで回るには以下の感覚が必要になるのです。それが、①スイング中の動きの感覚、②ボールセット感覚及びアライメント感覚、③スイングリズム感覚、④斜面対応スイング感覚、⑤アプローチショット感覚&パッティング感覚です。これらの感覚は必ずやゴルファーが練習場で覚えたスイングを駆使してゴルフコースでいいスコアを達成する手助けをしてくれます。では、これらの感覚を一つずつ説明していきましょう。
①スイング中の動きの感覚
ゴルフコースでは自分のスイングフォームを撮影しながらラウンドすることはできません。また、もしできたとしても実際にスイングしているときは自分のフォームを見ることはできません。つまり、ラウンド中のゴルファーが自分のスイングに対してできることはスイング感覚の調整だけなのです。スイング感覚とはクラブを振るときにゴルファーの体の中に発生する「動きの感覚」です。実はすべての運動の習得や調整には運動中の動きの感覚の習得や調整が使われるのです。ゴルフスイングも運動である以上例外ではなく、クラブヘッドの軌道やフェースの向きなどの調整はスイング中の動きの感覚を通して行われます。そのため普段の練習からラウンド中にスイングを調整できる動きの感覚を習得しておかないとラウンド中に不調に落ちるとラウンド中は元に戻すことができなくなってしまいます。この感覚を習得してラウンド中に大きく崩れてしまうことを防止していいスコアにつなげましょう。
②ボールセット感覚及びアライメント感覚
ゴルフではいかに素晴らしいスイングフォームを身につけたとしても、そのスイングでクラブを振った時のクラブヘッドの通り道にボールをセットしなければナイスショットは生まれません。このボールをセットする場所には「体からの距離」と「左右の位置」の2種類がありますが、どちらもメジャーを使って計測しながらコースラウンドすることはできません。そのためこの距離と位置はプレーヤーの感覚にゆだねられてしまいます。また、この距離と位置が正しくてナイスショットが打てたとしてもヒットしたボールが狙った方向へ飛ぶかどうかはアドレス時の体の向き、すなわちアライメントが正しいかどうかによります。そして、このアライメントもT定規などを持ち込んで計測することができないので、やはりプレーヤーの感覚にゆだねられます。これに対して練習場では足場のマットなどがアライメントを助けてくれ、さらに同じクラブで同じ場所から何発のボールを打つことがボールセットを助けてくれるので何の注意を払わなくてもこれらは正しくなります。しかし、ゴルフコースでは練習場のようにアライメントを助けてくれるものは少ないうえに、同じクラブで続けて同じ場所でボールをヒットすることは稀です。そこでこのテキストではセットアップルーチンを通してボールセット感覚とアライメント感覚を磨きいいスイングがいいスコアにつながるようにしていきます。
③スイングリズム感覚
練習場でナイスショットが打てるようになると何球も続けて同じショットを、しかもゴルフコースで打ちたいと願うようになるのがゴルファーです。この同じショットを繰り返し打つという課題のために必要となるのが同じスイングを繰り返し行うということです。確かに異なるフォームで同じようなショットが打てることもありますがやはり確率は低くなります。そこで常に同じフォームでショットが打てるようなる必要があるのですが、ここで問題となるのが動きの速度です。同じ運動を繰り返すには「動きの速さの統一」が重要であり、そこにはリズムとテンポが存在します。それが一定でないと同じフォームでくり返し同じショットを打つことが難しくなります。そこでクラブヘッドの動きでなく体の動きによるスイングリズム感覚を習得して普段の練習から体の各部が同じ動きをするようにします。これによりラウンド中のOBや池を目に入る緊張する場面でも練習場通りのスイングを行うことが可能になるナイスショットが連発できます。また、スイングリズム感覚を身につけるとリズムの中にアクセントを加える動きが分かるため、それがヘッドスピードを上げることに繋がり飛距離も伸びます。
③斜面対応スイング感覚
ゴルフコースには斜面がありますが、いいスコアでラウンドするには当然ですが、この斜面からのショットも上手く打つ必要があります。そこで練習場では傾斜盤などを使って斜面からのショットを練習しますが傾斜盤と全く同じ角度の傾斜にボールが止まることは稀です。実は傾斜盤練習で習得しなければならないのが斜面対応スイング感覚なのです。この感覚を習得すれば練習場で覚えたスイングフォームをいかして最小限の調整で斜面からのショットを成功させることができます。必要最小限調整が必要な理由は斜面からのショットで重要なのが、そのショットの成功よりも「斜面その後」だからです。斜面その後とは斜面でショットを打った後の平地でのショットです。多くのゴルファーが斜面その後を考えないでラウンド中に斜面ショットを何回か打ち、その後大崩れしてしまうという経験をしています。この大崩れの原因は斜面からの打ち方があまりにも平地からのスイングと違うということにあります。つなり、斜面から何回もクラブを振ったことにより平地でのスイングが狂ってしまったのです。ゴルフスイングは繊細です。18ホール崩さないラウンドするには斜面でもできるだけ平地のクラブの振り方を変えないで打つべきなのです。
④アプローチショット感覚&パッティング感覚
ゴルフのスコアはショートゲームの成否によって左右されます。しかし、ショートゲームの上達は非常に難しいものです。その理由は、課題が不明確だからです。なぜ明確にできないかというと、多くのゴルファーが「アプローチショットは上手く打てますか? 寄りますか?」、「ロングパットが寄りますか?」、「ショートパットが入りますか?」という問いに「成功することもあるが失敗こともある」と答えることからもわかります。これはショートゲームの課題抽出の難しさを表しています。ショートゲームはプロ選手のように鍛えられた体でなくとも上達しそうです。なぜなら飛ばす距離が短いので筋力には関係なく、クラブの振り幅も小さいのでボールヒットも簡単そうです。ましてパッティングとなると、初めてパターを握る人でも空振りをすることはほとんどなくロングパットが寄ったりショートパットが入ったりすることさえあります。これに対してゴルフにのめり込んで素晴らしいショットが打てるゴルファーが、これが寄ればパーというようなアプローチショットをダフってボールが10cmしか動かないとかトップしてグリーンオーバーを繰り返すということも普通に起こります。さらにパッティングとなると、10m程度の距離を5メールぐらいオーバーするとか30cmのパターを外すといったことが普通に起こります。しかし一方では素晴らしいパフォーマンスを完成させることもあるため何を修正していいのかわかりません。もちろん悪い結果ばかりを繰り返していて挙げ句の果てにはすぐそこに打てばいいアプローチショットやパッティングが怖くてしょうがないというゴルファーですらなにを修正すればいいのが分からないのがショートゲームです。そこでこのテキストではアプローチショット及びパッティングの上達のためには「どういう感覚を習得すればいいのか」、またそのためには「どういう練習をすればいいのか」、を明確にしました。
以上のような感覚をみにつけて練習場で覚えた素晴らしいゴルフスイングをコースラウンドでスコアにつなげられるスイングにしていきましょう。「コンバインドプレーン」理論に基づくスイング構築法‐スイング感覚作り編‐をどうぞよろしく。